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野草に親しむ (クズ)

No.23(2000.05.21)


葛湯にして飲む葛粉の原料として知られているクズです。
原料がクズ100%の葛粉はけっこうよい値段がします。

そんなクズに関しての実感は親しむというより苦労したという方が適切かもしれません。

以前住んでいたところは、土地が雛壇に造成してあったので肥沃な表土がありませんでした。

そのために強靭な雑草であるマガヤ(十五夜のススキ)とクズが最初に生えてきていました。

豊富な降水量と長い日照時間に恵まれているその地で育つそれらは2年もすると想像を絶する大きさになります。

マガヤの高さが3メートル前後、クズの直径が4センチメートルにもなり、しかもクズがマガヤにつる状にからみ付いているのです。

初めての草刈りの時にはまったく閉口してしまいました。
刈払機でマガヤの根元を切っても硬化したクズのつるに支えられて突っ立ったままなのです。

仕方がないのでマガヤの根元を切った後に、その都度刈払機の刃を縦にして(これに相当腕力が必要)周りのクズのつるを切りました。

今思い出してもゾッとする辛い経験でした。

また山の中で直径が5センチ以上にもなる気味の悪いクズを見たこともありました。

そういえば地籍調査の立ち会いで山に入った時に崖から落ちそうになり、とっさにかずら(クズではなかったかも)をつかんで宙吊りになり怪我を免れたこともありました。

そんなわけで食用としては若い葉や新芽の先を天ぷらで食べただけでした。
新芽は形も歯ざわりもサヤインゲンに似ていました。

クズの根を木づちで叩いては水に浸けるという作業を繰り返し、白濁した水を一度濾して乾燥させれば手作り葛粉が作れることは教えてもらいました。

しかしクズの根を掘り起こすのが相当な重労働なので、結局そこまで挑戦する時間的体力的余裕はありませんでした。

紫色のきれいなクズの花を乾かして煎服すると二日酔い、悪酔いによく効くそうです。


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