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「違反食品」とは

No.117(2023.12.10)


「脳にも悪い!違反食品」という本を読み終えました。著者は、小若順一、国光美佳、食品と暮らしの安全基金です。

かつてはマクロビオティックや自然食の信奉者だったものの、今は冷凍食品やレトルト食品を利用することがあります。
で、不思議に思っていたことがありました。
生鮮食品は同じ種類のものでも美味しいものもあればまずいものもあります。それなのに加工食品に入っている野菜や肉、魚の味には、ほとんどばらつきがなく均一なのです。

もっとも加工食品の味(品質)がその都度違えばクレーマーの格好の餌食になるでしょうけど。

原材料を加工する過程で均質化が成されているのだろうと私なりに推察はしていました。
この本を読んで知ったのは、利用者が加工食品類に当然含まれていると期待している栄養素が実は製造過程でほとんど失われてるという事実です。

この本が画期的なのは加工後にミネラルが激減していることを実測検査の結果で明確に提示している点です。検査対象の商品名も明らかにしています。検査対象品目には前述の冷凍食品、 レトルト食品だけではなく、コンビニや弁当屋の弁当、テイクアウト食品も含まれています。

ミネラルが失われていることから、実測が困難なビタミンや微量栄養素群も同様に失われているのではないかとの推論は説得力があります。

食品成分表では原材料の生鮮品に含まれているとされている微量栄養素が実際には加工される過程で失われているのです。

よってこれらの加工食品等を中心に常食していると、健康を維持するために最低限必要な微量栄養素群の所要量を大幅に下回るので、心身に不調をきたすと断言しています。

近年急激に増加している印象のある、自閉症や発達障害の原因の一つがこの問題ではないかと問題提起するとともに食事改善でそれらの症状が劇的に改善した実例の紹介もあります。

著者の小若氏の、一般庶民が健康にならなければ社会全体が良くならない、という信条に好感をもちました。行政や政治に対して問題提起を続ける行動力と正義感にも敬服します。しかし反応は鈍く孤軍奮闘は続いています。

製造メーカーなどの供給側に対しても、過去にありがちだった一方的に糾弾する姿勢ではなく、利用者の健康に寄与する製品を開発するよう要望するという穏健路線をとっているところも共感できます。

私が自然食に関心をもち始めた頃に著書で食品添加物の危険性を知らしめてくれた郡司篤孝氏を思い起こさせてくれました。

日の当たらない場所で地道に世直しを目指して奮闘努力を続ける希有な人物が成し遂げた功労があり、大衆は無自覚にその恩恵を受ける。
これが日本の図式なのでしょうか。

理想の追求を試みるには、三大栄養素だけではなく微量栄養素群も併せて過不足なく摂ることが必要条件かもしれません。もちろんそれだけでは十分条件とはなりませんが。


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