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端末人間増殖中

No.106(2022.05.08)


あなたはオフコンを知っていますか。

オフコンとはオフィスコンピュータを短縮した略語です。

パーソナルコンピュータを略してパソコンと呼ぶのと同じように。

事務処理用のコンピュータが立派な机くらいの大きさで、かつ値段もかなり高額なためにとても個人では買えなかった時代がありました。

コンピュータといえばオフコンのことを意味していた時代です。

その頃はコンピュータを導入するといっても事務所にオフコン1台が普通だったのです。

ではオペレーターも一人かというとそうではありませんでした。

出力用モニタ、プリンタなどと入力用キーボードなどをセットとして複数組が各部署に配置されました。

データの演算処理はオフコンの内部で行なっていました。

現代のLANに近いと感じるかもしれません。

が、各オペレーターの手元装置は単なる入出力用の端末機器である点が異なります。

前置きが長くなりましたがここから本題です。

スマホやパソコンを介してネット漬けになっている人は、人間端末機器と化しているのではないか、と考えるようになりました。

インターネットをオフコンとしたら、です。

一日中ネットに対して入出力を繰り返しているだけの生活。

SNSが普及する前はネットは主に見るだけでしたが、今は投稿などで発信するのが普通になっています。

来る日も来る日もネットに入出力入出力。

ネットの仕掛けに左右されていることに気付かず自由意志と錯覚している。

オフコン内のプログラムに従って入出力作業を続ける。

非常に似ていると考えたのです、私は。

そしてネット中毒者の別称として「端末人間」を考案しました。

このまま世の中が推移すれば近い将来端末人間だらけになるでしょう。

インターネットが登場した時、クモの巣(web)のように水平対等につながる点が革命的だと称賛されていた記憶があります。

ポータルサイトは検索サイト、が常態化していく過程でネットが進んでいる方向性に違和感を覚えました。

クラウドが登場したことで、結局また垂直的中央集中的なネットワークに逆戻りか、と感じるに至りました。

唯一残った草の根ネットワークが闇サイト、だとしたら笑えないジョークですね。

webからcloudへ。

クモから雲へ。

日本語で音だけは同じです。


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