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酔って本性現わす

No.41(2003.10.16)


かつて聖職とされた仕事を定年退職で終えた方が近所でお客商売を始めました。

連れ合いと共に客として行ってみたところお客様には一流の良い物を提供したいという考えで徹底している様子でした。

我家とは趣向が異なる部分もあるもののその善良な姿勢に共感しました。

先日の夕方その方から突然電話があり、今晩は休みなので私の店で一緒に酒を飲みませんかというお誘いがありました。

急な話だったので少し迷いましたがせっかくの機会だからと二人でお邪魔させてもらうことにしました。

その方とはたった数回話しただけだというのに、のこのこと誘われるまま飲みに出かけていった私の判断は結果として大きな間違いでした。

お近付きのしるしにまずビールで乾杯し、いかにお店の設計に苦心したかという言ってみれば自慢話から飲み会は始まりました。

その方の現役時代の話になった際には、ほんの少しでも法を犯したら人生が台無しになるという聖職につく者がおかれている状況が理不尽であり非常にストレスがたまったと嘆いていました。

聖職者の犯罪に対するマスコミの面白半分な取り扱いを不愉快に思う私としては分からないでもありませんでしたが、聖職以外の職についている人だってそれは同じだろうと内心思っていました。

少ししてビールから焼酎のお湯割りになった後に酔いが回ったのかその方の様子が豹変しました。

それ以後の話題は、その方がいかに資産をもっているかが8割、身内の学歴職歴自慢が2割という独演会の様相になりました。

その方の表情も激変していて失礼ながら餓鬼さながら。

確かに今の世の中では金と地位が一番万人に通用するものさしだとは思います。

が、我家では二人ともその手の話にはまったく興味がないので自然とつれない態度で接していました。

そんな私達の様子がその方にとってはもの足りなかったのでしょうか、いきなりそのお店を建てた際の見積書を奥から出してきて見せてくれました。

「嘘じゃないんですよ。」

誰も嘘だとは言ってないんですけど、、、

それにしても(一方的に話しているので)私がどういう人間かも知らないままに経済的内情をさらしてしまう無用心さには驚かされました。

よっぽど、「中国人留学生の友達が金に困ってましてね。手先は器用だし度胸もあるんですわ。」と脅かして注意を促してあげようかと思いました。

しかし冗談が通じないだろうなと控えました。

それにしてもこんな守銭奴、ガリガリ亡者が我国の将来に影響を及ぼす聖職者だったと思うと愕然とさせられます。

その方の口ぶりから、その方は現役時代に職場で変わり者扱いされていたいわゆる名物○○だったらしく、それがせめてもの救いでした。


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