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広過ぎても負担大なり

No.19(2002.10.07)


結婚してから5年間は6畳と4畳半の和室に3畳の台所、それに風呂と便所という間取りのアパートに住んでいました。

その後30坪弱という猫の額くらいの敷地に総2階という作りで、周囲の隣家には窓から手が届きそうなくらい狭苦しい環境にある一戸建ての家で約1年間暮らしてから農村に移住しました。

それまでずっと狭いことに不満を感じて生活していた当時は、その反動からか敷地も建物も広いにこしたことはないと漠然と考えるようになってしまっていたのです。

そんなこともあって最終的に選んだのは敷地が登記上3500坪(実際は8000坪あった)、築3年の家は50坪でさらに車3台が入るシャッター付きガレージまであるという夢のような中古物件でした。

普通の人だったらちょっと手を出し難い訳ありだったことと、売り主の方が急いでいたこととで破格の安値だったことにも後押しされての決断でした。

これこそまさに渡りに船だ、などと調子にのっていた自分が今となっては恥ずかしい限りです。

土地も家も広ければ広いほど維持管理に時間と労力を要するという当たり前のことが分かっていなかった私の判断ミスでした。

雑木林であればあまり手もかからないから良いのです。が、別項でも述べたように造成で地形を変えてしまっていましたので、竹林以外のところはカヤ(ススキ)、クズ、セイタカアワダチソウが生い茂るという惨憺たる有り様でした。

除草剤は使いたくなかったので家周りの雑草は草取りし、先住者が果樹園としていたところは刈払い機で雑草を刈らなければなりませんでした。公道から建物までの数十メートルの私道脇の草刈りだけでも一仕事でした。

特に斜面の草刈りはきつく、かつ危険を伴うものでした。

このように管理していた面積は土地全体の10分の1くらいで、残りの部分はとても手が回りませんし、ご近所さんにも迷惑がかからなかったこともあり放任状態にせざるを得ませんでした。

家は家で広ければまず日々の掃除が大仕事になります。

使う部屋は決まっていますからそれ以外の部屋を掃除する頻度は自ずから下がっていきました。

最初の数年こそ障子20枚を全部自分で張り替えていたものの、次第に普段使わない部屋の障子は破れたままになっていきました。

後期には網戸の網の張り替えを業者に頼むほど維持管理に疲れ果ててしまっていたことが思い出されます。

大きな建物は定期的な補修の際にもお金がかかるのだということも実感しました。

過ぎたるは及ばざるが如し、です。

土地が幾筆にも分筆されていて、私道と家が建っている筆以外は地目が原野や田畑だったので、固定資産税が驚くほど少なかったことだけは救いでした。


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