2002年12月分

音楽雑記帳

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12月22日(日) 異文化に対する礼節の欠如

ピアノの調律師としてヤマハで定年まで勤め終えた方と話す機会がありました。

ピアノ制作には色々な種類の木材が必要なため、かつては良い材木を調達するために欧州数カ国の森林を伐採し大規模な自然破壊を行なったそうです。

それだけならまだしも、バブル期には買い替え促進のためにそんな良質の材が使われている古いピアノをゴミとして国内で廃棄したとのこと。

しかも、都合の悪いことにその様子を映した映像が欧州のテレビで放送されたために、歴史のあるピアノを尊重するのが常識である欧州の人達の怒りをかったそうです。

こんなところにも伝統など顧みず経済効率一辺倒になっている我国の悲惨な状況が具現化していたことを知り、悲しい気持ちになりました。

その方が定年後に欧州旅行に行った際に、ヤマハと口にした途端に当地の人達から軽蔑の眼差しを向けられ、以後その名前は話題にしない方が良いと助言されたそうです。

我家にある約40年前に同社で制作された市場価格ゼロのアップライト・ピアノの方が、最新のものより良い材料でよりていねいに制作されていることも教えていただきました。

長い間弾き続けて愛着があるピアノだけに、最後にその話を聞いて救われました。

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12月14日(土) 歪み音が憧れだった頃

私が高校生だった70年代前半に素人バンドが正統派ハード・ロックを演奏しようとする際に、常に問題になったのはアンプやPAをどうするかということでした。

当時は普通の学生でも買うことができるような安価な国産アンプとプロ御用達舶来ブランド物アンプの間には、その性能、音質において雲泥の差がありました。

単純なリフほど貧しい機材による「寒さ」があらわになるというのが悲しい現実でした。

そんな時代に私が最も衝撃を受けたのは、姉が友人から借りてきたアナログ盤でDEEP PURPLEの演奏する楽曲「SPEED KING」を初めて聴いた時でした。

こんな簡潔なリフありか?

という疑問を差し挟む余地を与えまいとするかのような全員ユニゾン攻撃!

こんな風に演奏したら気持ちいいだろうなぁ~、という羨望と、手持ちの機材では絶対に実現不可能だという絶望感を同時に感じさせられたものです。

彼らの来日公演を収録したCDを聴いていて上述のようなことを思い出しました。

2枚組アナログ盤は処分してしまった私ですが、先日タワー・レコードに立ち寄った際にリマスターされアンコール曲も追加されたイギリス盤2枚組CDが非常に廉価で売られていたので衝動買いしてしまったのです。

私は、冒頭に収められている楽曲「HIGHWAY STAR」のこのライヴ演奏をスタジオ録音のものより先に聴きました。

後にスタジオ録音の演奏を聴いた時にギター・ソロの部分が多重録音でツイン・リードになっているのを知るとともに、何だか小奇麗にまとまっちゃってるんだ、とやや失望した記憶もあります。

押しても駄目なら引いてみな。

ではなく。

押しても駄目ならさらに押す。

そんな一途さが彼らの魅力であり、また時には欠点にもなることがある。

追加収録のアンコールで演奏された楽曲群を聴いていたら、そんな気がしました。

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12月4日(水) 何故か外された1曲

発売直後に輸入(アナログ)盤を買ったFREEの「FREE LIVE!(1971)」をCDで買い直す(?)のは今回で2度目です。

1度目は80年代後半だったと記憶しています。

この作品はかなりの愛聴盤だったのでその頃CDが半永久的だと信じ込まされていたことが買った理由でした。
CDの何回聴いても音質が劣化しない点に惹かれてしまったわけで、当時は次々に所持していたアナログ盤と同一作品のCDを入手していました。

今回はボーナス・トラックを7曲追加して今年再発売された同作品の(価格がリーズナブルな)輸入盤を手に入れました。

アナログ盤にも前回のCDにも冒頭に収録されていた開演直前まで会場で流されていたBGMの終わりの部分が今回のCDでは削除されているのは著作権の関係なのでしょうか。
まあ大した問題ではありませんが。

リマスタリングもほどこされていて確かに私の貧弱なオーディオ装置で聴いても音質が良くなっていることが分かりますし、追加収録された楽曲も聴くに値する水準であると思いました。

我家では、と言うより私の自室では既に音楽CDの総量規制がかかっていますので、これで内容が重複する古い方のCDを処分することになります。

と買った時には考えていたのですが、古い方のCDには入っていたスタジオ録音の楽曲「MY BROTHER JAKE」が何故か新CDには収録されていないことに気付きました。

そもそもこの曲はアナログ盤には入っておらず最初にCD化される際に追加されたのだったことを思い出しました。

一旦入れたものは外さないで欲しかったのですが、、、

この曲は好きなので1曲のために旧CDも手元に残すことになり、またまた音楽CDの総量が増加する結果になってしまいました。

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